茨城大学大学院・理工学研究科 博士課程 量子線科学専攻

Inhibitory Effects of Local Anesthetics on the Proteasome and Their Biological Actions

論文

杉山 里奈(海野研、M2学生)
海野 昌喜(化学・生命コース)


タイトル

Inhibitory Effects of Local Anesthetics on the Proteasome and Their Biological Actions


著者名

Bahrudin, U., Unno, M., Nishio, K., Kita, A., Li, P., Kato, M., Inoue, M., Tsujitani, S., Murakami , T., Sugiyama, R., Saeki, Y., Obara, Y., Tanaka, K., Yamaguchi, H., Sakane, I., Kawata, Y., Itoh, T., Ninomiya, H., *Hisatome, I., *Morimoto, Y.


雑誌名

Scientific Reports


DOI

10.1038/s41598-017-04652-2


研究概要

現在臨床で使われているピルシカイニド、リドカインといった構造中に一つ芳香環をもつ局所麻酔薬が、プロテアソームとよばれるタンパク質の弱い阻害剤として働くことを示した論文。

本来、これらの臨床薬はナトリウムチャネルを阻害することが知られていたが、プロテアソームを阻害することを世界で初めて発見した。
これらの局所麻酔薬は、心不全の患者に対して使うと死亡に至るような副作用があったため、心不全の患者には使えなかったが、この原因がプロテアソームの阻害にある事を示唆した。この結果から、これらの薬を元構造として、プロテアソームを阻害しないような構造に改変をすれば、副作用のない、より良い局所麻酔薬になる可能性がある。生化学的な実験に併せ、計算化学や細胞を使った実験により、阻害メカニズムを提唱している。また、これらの薬ががん細胞の増殖を抑制することも示した。